

米国によるベネズエラへの軍事行動に反対し、対話による解決を求める声明
私たち、公益財団法人日本クリスチャン・アカデミーは、2026年1月3日に報じられた米国によるベネズエラ領内での軍事行動と、同国指導者が拘束され、米国へ移送されたとされる事態に深く憂慮し、以下のとおり反対を表明します。
いかなる政治的目的であっても、武力の行使は、市民の生命と生活を脅かし、社会の分断と憎悪の連鎖を生みます。失われてよい命は一つもありません。死傷者が生じたと伝えられる以上、事実関係の検証と人道的配慮が最優先されなければなりません。
国際社会は、主権の尊重と武力不行使を基本原則として築かれてきました。国連憲章が定める武力行使禁止の原則に照らし、今回の軍事行動は国際法上の重大な疑義を免れません。他国の領域に軍事力をもって介入し、外部権力が現状の変更を図るならば、それは国際秩序の根幹を揺るがす憂慮すべき軍事行動です。たとえ指導者個人に重大な容疑があるとしても、法の支配に立脚した手続きと国際協調の枠組みのもとで対処されるべきであり、強制的な身柄拘束が前例となることは看過できません。
さらに、石油資源など経済的利害が軍事力によって左右されるならば、資源と市場を支配するための暴力が正当化されかねません。資源は本来、その国の人びとの生活と尊厳を支えるために用いられるべきであり、外部の利益を優先する介入は、脆弱な立場にある人びとの困難をさらに深めることになります。
私たちは長年、暴力や武力、軍事力によらず、当事者と国際社会の粘り強い「はなしあい」によって紛争や社会課題の解決を求めて活動を続けてきました。聖書は「平和を実現する人々は、幸いである」(マタイによる福音書5章9節)と語り、また「剣を取る者は皆、剣で滅びる」(同26章52節)と戒めています。武力は問題を沈静化させるのではなく、さらなる暴力の口実となってきたことを歴史は繰り返し示してきました。
私たちは、米国大統領に対し、武力行使の停止と、国際法に立脚した手続き、そして外交による解決へ直ちに立ち返ることを求めます。関係各国政府ならびに国連関係機関には、人道的被害の拡大を防ぎ、医療・食料・水などの支援が妨げられない環境を確保しつつ、包摂的な対話の可能性を開くための公正な努力を継続することを要請します。日本国政府には、生命の尊厳と国際法の原則を重んじ、「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」(イザヤ書2章4節)との祈りが実現される国際社会のために、関係各国への積極的な働きかけを求めます。
日本クリスチャン・アカデミーは今後も、武力や軍事力による現状変更に反対し、異なる立場の者たちによる対話、「はなしあい」による平和な国際社会の実現を訴え続けます。
2026年1月17日
公益財団法人 日本クリスチャン・アカデミー
Statement Opposing U.S. Military Action in Venezuela
and Calling for a Resolution through Dialogue
We, the Nippon Christian
Academy (Public Interest Incorporated Foundation), express grave concern and
state our opposition to the U.S. military action within Venezuelan territory
reported on January 3, 2026, including reports of the detention and transfer to
the United States of the Venezuelan leader. Whatever the political objective
may be, the use of force endangers the lives and livelihoods of civilians and
fuels cycles of division and hostility. If casualties have occurred as
reported, careful verification of the facts and the highest level of
humanitarian consideration must be given priority.
The international
community has been built upon the basic principles of respect for sovereignty
and the non-use of force. In light of the United Nations Charter, which in
principle prohibits the use of force, the reported action raises serious doubts
as to its compatibility with international law. When military power is used to
intervene in another country's territory and to alter the status quo from
outside, the foundations of the international order are shaken. Even where
grave allegations exist against particular individuals, the proper course is to
address them through legal procedures and frameworks of international
cooperation. We cannot overlook the creation of a precedent in which coercive
detention is carried out by force. When changes to the status quo by force are
repeated in the name of "justice," the world is drawn into an endless spiral of
retaliation.
Moreover, when we
consider the oil resources and economic interests that appear to lie behind
this, we cannot dismiss the concern that military power is being used as a
means to control resources and markets. Resources ought to be used to sustain
the lives and dignity of the people of the country concerned; intervention that
prioritizes external interests risks further deepening the hardship of those in
vulnerable positions.
For many years we have
worked to seek solutions to conflicts and social challenges not through
violence, armed force, or military power, but through persistent Hanashiai (listening
and talking) among the parties concerned and the international community.
Scripture says, "Blessed are the peacemakers" (Matthew 5:9), and warns that "all
who take the sword will perish by the sword" (Matthew 26:52). History has
repeatedly shown that force does not calm a problem, but becomes a pretext for
further violence.
We call on the President
of the United States to halt the use of force and to return without delay to
procedures grounded in international law, and to pursue a diplomatic
resolution. We urge all governments concerned, together with the relevant
bodies of the United Nations, to prevent the expansion of humanitarian
suffering, to secure an environment in which assistance--medical care, food, and
water--can be delivered without obstruction, and to continue fair efforts to
open up possibilities for inclusive dialogue. We also call on the Government of
Japan to respect the dignity of life and the principles of international law,
and to engage proactively with relevant countries toward a peace in which, as
Isaiah 2:4 declares, "they shall beat their swords into plowshares, and their
spears into pruning hooks."
The Nippon Christian
Academy will continue to oppose attempts to change the status quo by force or
military power, and will continue to advocate for a peaceful international
community through non-military means--through dialogue among people in differing
positions and Hanashiai (listening and talking).
January 17, 2026
Nippon Christian Academy (Public Interest Incorporated Foundation)
ガザ地区および周辺地域における深刻な事態についての声明
私たち、公益財団法人日本クリスチャン・アカデミーは、ガザ地区および周辺地域において現在進行中の深刻な事態を深く憂慮し、下記の声明を発します。
パレスチナ自治区とイスラエルを含む中東・オリエント地域は、古代からさまざまな文明・文化を発祥し、人類に大きな影響を与え続ける宗教的思索の淵源地のひとつでもあります。この地域で多くの葛藤、軋轢、紛争、戦争、占領などが生起しつづけたことも事実です。第二次世界大戦後より一貫して、私たちは宗教者の立場から、さまざまな対立を克服し、和解へと至る道を模索し、祈り、必要な訴えを続けてまいりました。紛争を調停し、対立を和解するためには、暴力や武力、戦力による威嚇と行使ではなく、「はなしあい」が必要です。
いま、この地域では「はなしあい」どころか、際限のない武力と暴力の行使が続いています。この深刻な事態により、亡くなられたすべての方々に深く哀悼の意を表します。また、心と身体に傷を負い、十分な治療と医療も受けられないまま、いまなお生命の危機のなかにある方々と共にありたいと願っています。そして、悪化を続ける事態が国際社会の分断をさらに拡大し、差別や偏見、憎悪の渦に人々が巻き込まれてゆくことを危惧し、心から心配します。
私たちは、どのような国家、組織、権力、または勢力によるものであっても、武力行使と暴力行為を認めることはありません。無辜(むこ)の人々の生命を奪う攻撃の即時停止を強く訴えます。不当に拘束されているすべての人々が一日も早く解放され、自由を取り戻し、必要な援助と支援を受けられるよう強く要請します。
ここに至るさまざまな要因は枚挙にいとまがなく、複雑にこみ入った歴史の積み重ねがあること学ばなければなりません。私たちは日頃から強い関心を抱き、歴史に蓄積された偏見を脱して、理解と連帯が必要であることを自覚してきました。これからも、この地道な活動こそが深刻な事態の回避につながり、平和の実現に役立つことを信じ、公益財団法人としての活動を続けます。
日本国政府ならびに国連関係機関にあっては、公平公正な原則を厳守し、なによりも生命こそが尊ばれ、「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」祈りが実現される国際社会のために、惜しまぬ努力を継続されるようにと要請します。
2023年11月10日
公益財団法人 日本クリスチャン・アカデミー
ロシアのウクライナ軍事侵攻に反対する声明
2022年4月22日
日本クリスチャン・アカデミーは、今回のロシアによるウクライナへの軍事侵攻を深く憂慮し、反対を表明します。去る2月24日に開始された軍事侵攻によって、これまでに両軍のみならず多くの尊い命が失われ、傷つけられています。失われてよい命は一つもありません。ウクライナはロシア領土に対する攻撃をしていません。ロシアがウクライナに軍事侵攻をすることは、不戦条約1条や国連憲章2条が禁止した他国に対する侵略戦争といえます。ロシアの軍事侵攻は明確な国際法違反であり、ロシアは軍事侵攻を即刻停止し、撤退するべきです。
プーチン大統領は2月24日の演説で核兵器の使用を示唆しています。また、生物化学兵器など非人道的な兵器がロシア軍によって使用されることへの危惧が高まっています。日本クリスチャン・アカデミーは、1945年8月に起きた原爆投下と、被爆を体験した国のキリスト教団体として、2度とこのような惨禍が繰り返されないことを願い、祈ってきました。また、ウクライナのチョルノービリ原発事故の惨劇を繰り返してならないことは言うまでもありません。ロシアも加盟するジュネーブ条約第一追加議定書には、原子力発電所など危険な工作物等への軍事攻撃を禁じています。この度のロシアによる軍事攻撃とそれに伴う核使用への言及は、世界を破滅の道へと導くことを暗示しています。ロシア軍の軍事侵攻が長期化することにより、核兵器の使用が現実化すること、さらに偶発的な攻撃を含め原子力発電所の惨事が繰り返されることを危惧し懸念します。ロシアがウクライナへの軍事侵攻を即刻停止し、直ちに撤退することを求めます。
戦争によって傷つき大きな犠牲を強いられるのは無辜の市民であり、脆弱な立場にある人々です。ロシアの攻撃を受けた都市、地域では、女性、子ども、障がい者、高齢者など弱い立場にあるおびただしい人々が、移動手段、食料、水、薬、救急施設などへのアクセスが断たれ、国内外に避難をしています。ロシアは、避難民に危害を加えることなく、国際的なNGOなどの人道的支援活動を妨げないことを強く求めます。ロシアはウクライナの領域内で開始した軍事作戦を直ちに停止し、一般市民への攻撃、虐殺を中止すべきです。
戦争の歴史は武力の行使が新たな憎悪を生み、報復の連鎖を断ち切ることができないことを教えています。日本クリスチャン・アカデミーは、あらゆる武力行使に反対します。聖書は「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる」(マタイによる福音書5章9節)、「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる」(マタイによる福音書26章52節)と教えています。ロシアはウクライナへの軍事侵攻と戦争の拡大を一刻も早く止めることを求めます。日本クリスチャン・アカデミーは人と人との「はなしあい」を大切にし、対話することを活動の中心としてきました。軍事力や核兵器による抑止力に依拠しない対話によるウクライナとロシアの平和構築への努力を願って止みません。
公益財団法人日本クリスチャン・アカデミー